麒麟電池は液体冷却機能部品をセル間に配置することで伝熱面積を4倍に拡大(CATLの動画をキャプチャー)
タブレス構造を採用する4680の内部

 車載用電池の構造進化が続いている。寧徳時代新能源科技(CATL)は、第3世代の設計技術「CTP(セル・トゥー・パック)3・0」を採用した「麒麟(Qilin)」電池を発表。構造部品のパッケージングを見直し、重量エネルギー密度を最大255㍗時/㌔㌘に引き上げた。米国の電気自動車(EV)メーカーのテスラが搭載を進める新型リチウムイオン電池「4680」はタブレス構造を採用し性能向上を図るが、麒麟電池は同じパックサイズの4680と比較すると13%多い電力が供給できるという。正極材や負極材といった電池材料に加え、冷却性能や安全性、車両搭載性などを含めた内部構造が、車載用電池そのものの競争力を左右する。

 CATLの麒麟電池は2023年から量産する予定。効率性の指標とされる容量利用率は72%を達成しており、19年に発売した初代CTPの50%から大幅に向上させた。

 CTPはモジュール筐体を省いた内部構造が特徴。第3世代では冷却システムを最適化し、液体冷却機能部品をセル間に配置することで伝熱面積を4倍に拡大。システムの体積を低減する一方で冷却性能を向上した。

 内部構造の簡素化もさらに進めており、クロスビームと液体冷却プレート、熱パッドを多機能弾性中間層に統合。電池パックの耐衝撃性、耐振動性を高める構造も採用するなどし、電池容量を6%増やすことに成功している。

 CTP3・0を三元系(ニッケル、マンガン、コバルト)の正極材とした場合、重量エネルギー密度は255㍗時/㌔㌘、リン酸鉄リチウム系電池の場合では160㍗時/㌔㌘に達する。

 CATLが名指しで麒麟電池と比較する4680は、テスラが20年9月に開催した電池事業説明会「バッテリーデイ」で公開した次世代リチウムイオン電池。直径46㍉㍍、長さ80㍉㍍の円筒型電池で、既存の2170と比べるとエネルギー容量は5倍、出力が6倍になるとされる。これまでパナソニックとともに開発を進め、テスラ自身も内製化しコスト低減を図っている。

 テスラが開発を進める4680はタブレス構造を採用している。タブレス構造とは集電体から電気を取り出す電極タブをなくし、上端をすべて電極にしたもの。電子が移動する際の発熱量を抑制でき、大径の電池セルにすることができる。

 直径46㍉㍍、長さ80㍉㍍はその最適値。既存の2170と比べるとエネルギー容量は5倍、出力は6倍になり、製造工程の一部を省くことができるため、コスト低減にもつながるとされている。

 EVの普及拡大には航続距離の延伸が欠かせない。CATLによると、麒麟電池を採用すると1千㌔㍍を超える航続距離が期待できるという。電池メーカー各社は、自動車メーカーの高まる電池需要を獲得しようと技術開発を進める。車載電池の競争力を左右する電池容量の増大や安全性の確保、コスト低減に向けた技術は、電池材料のみならず内部構造の進化も欠かせない。