日産自動車が12日に発表した2022年3月期連結決算は、純利益が2155億円(前期は4486億円の赤字)となり、3年ぶりに黒字転換した。販売の質向上に加え円安が寄与した。23年3月期は、原材料費や物流費用などの高騰による影響が続くものの、新型車の投入などによる販売台数増や円安を追い風とし、2桁の増収を狙う。

 22年3月期の業績は、売上高が前期比7・1%増の8兆4245億円と、18年3月期以来4年ぶりに増加した。営業利益は2473億円(前期は1506億円の赤字)となった。事業構造改革「日産ネクスト」の推進により販売の質的向上を図ったことで収益増につながった。会見で内田誠社長は「厳しい環境下で結果を残せたのは、社内でしっかりとした事業基盤が構築されつつあるからだ。今年度も手綱を緩めることなく事業基盤をさらに強固にしていく」と話した。

 グローバル販売台数は、半導体不足による生産調整などを受けて同4・3%減の387万6千台だった。23年3月期は、半導体不足などが続くものの、新型車の投入効果や供給の改善などにより前期比3・2%増の400万台を見込む。

 23年3月期の業績見通しでは、売上高は同18・7%増の10兆円を見込む。純利益は同30・4%減の1500億円を予想。前期はダイムラー株の売却益があった。

 22年3月期は、期末配当を2年ぶりに実施し1株当たり5円とする。