三菱自動車は10日、2023年3月期の営業利益が前期比3・1%増の900億円になりそうだと発表した。原材料高騰などのコスト圧迫要因を為替の好転や車種構成の改善などで吸収し、2年ぶりの黒字になった前期を上回る営業利益を確保する。

 23年3月期の小売台数は前期比で微増となる93万8千台を計画する。東南アジアはコロナ禍からの回復や新商品投入の効果などで同19・6%増の29万9千台、日本は同34・7%増の10万1千台と主力市場は販売台数が増える一方、事業縮小を進めている欧州向けが同52・9%減の5万6千台と大幅に減少する。半導体不足などのサプライチェーンの混乱による台数影響は前期の約12万台に対して約11万台を見込む。

 半導体不足などによる車両供給遅れの影響は残るものの、東南アジアを中心に主力市場で台数を拡大し、販売のミックスなどで596億円の増益効果を見込む。また、ドル高円安が有利に働き、為替全体では607億円の増益要因になる見通しだ。想定為替レートは1㌦=122円に設定した。原材料価格が793億円、輸送費が155億円の減益効果になるものの、営業利益は差し引きで前期比3・1%増の増益になる見通しだ。設備投資は同59・5%増の1千億円に積み増す。

 同日発表した22年3月期の営業利益は固定費削減の効果に加え、車種構成や販売費、為替の好転に後押しされ、2年ぶりに黒字転換し、23年3月期を最終年度とする中期経営計画の売上高営業利益率目標を1年前倒しで達成した。加藤隆雄社長は「今期はさらに収益力改革を推進し、次のフェーズに向かいたい」と24年3月期以降の飛躍に向けた意気込みを述べた。