スバルが12日に発表した2022年3月期連結決算(国際会計基準、IFRS)は、売上収益が前年同期比3・0%減の2兆7445億円、営業利益が同11・7%減の904億円となり減収減益だった。半導体不足や東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大に伴う部品供給制約などの影響により、世界生産台数は同10・3%減の72万7千台、連結販売台数は同14・7%減の73万4千台と落ち込んだ。23年3月期の連結決算は販売台数の増加や為替差益の効果を織り込み、売上収益は3兆5千億円、営業利益は2千億円と増収増益を見込む。

 営業利益は販売奨励金の抑制や販売価格の改定、ミックス改善などで販売台数減少の影響をカバーしたほか、為替差益などの効果もあったが、原材料価格の高騰が大きく影響した。

 米国向けの販売奨励金は前期の1台当たり1300㌦に対し700㌦に下がり、総額では456億円削減した。原材料価格高騰の影響は796億円だった。

 23年3月期の連結販売は主力の北米市場を中心に回復を見込み94万台を計画する。グローバルでの在庫水準回復のため世界生産で100万台を目指す。原材料価格高騰の影響は1042億円と前期に比べ膨らむが、営業利益では新型コロナウイルス感染拡大前の20年3月期の実績レベルまで戻す。米国向けの販売奨励金は金利上昇を織り込み1台当たり900㌦とし、総額では333億円の増加となる見通しだ。同日のオンライン説明会で中村知美社長は、米国を中心に受注残が積み上がっている状況を踏まえ、「強い需要に応え、1台でも多くの車両を生産し、1台でも多くの販売につなげたい」と述べた。