みちてんクルーズ巡視画面

 古河電気工業は、道路標識など道路付属物の点検業務の一部に、ドライブレコーダーを活用できることを、宇都宮市(栃木県)と共同で実施した実証実験で確認できたと発表した。国土交通省が定める点検要領の作業員の目視による点検や5年に1回実施する中間点検の一部に代替できる効果を確認、とくに中間点検の業務作業を削減できる可能性があるとしている。

 高度成長期に整備された標識や照明などの道路付属物は、老朽化して危険なため、小まめな点検が求められている。ただ、数量が膨大なこともあって道路付属物の点検実施率は低いままだ。デジタル技術の活用による効率的で迅速な点検作業が期待されている。

 今回、同社は宇都宮市とともにドライブレコーダーなどを使って道路の小規模付属物を点検する実証実験を実施した。市が管理する道路の中から道路標識146基を抽出し、同社の付属物巡視支援システム「みちてんクルーズ」を活用して点検し、業務効率化や高度化が図れるかを検証した。

 システムは同社独自のロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)技術によってパトロール車に取り付けたドライブレコーダーの記録映像から、台帳に記載されている道路標識などの位置情報などに基づいて付近の映像を抽出して解析、道路標識などの劣化具合の判別を支援する。

 実証実験では、パトロール車内から人が目視で点検する「巡視」に、システムの動画拡大表示機能を使うことで、道路付属物の変状の有無を把握できることを確認した。また、5年に1回実施する中間点検でも、劣化による倒壊リスクの高い基部や基礎の様子を、現地での目視と同等レベルで、映像から把握できたとしている。点検要領で定められている77項目のうち、43項目は映像記録だけで点検できることを確認、中間点検の業務を削減できる可能性が期待できるという。

 同社は、今回の結果を踏まえ、技術開発を進め、道路維持管理業務の効率化、高度化が図れる技術の実用化を目指す。