自動車メーカーの生産工場の稼働停止が続いている。中国のロックダウン(都市封鎖)や半導体不足、物流網の混乱といった外部要因によるケースや、自社製品の不具合によるケースなど原因は様々で、これにより新車が長納期化するなどの弊害が出ている。連休明けに稼働停止するメーカーも一部であり、依然として収束する気配が見えない状況だ。

ダイハツ工業は、滋賀第2工場(滋賀県竜王町)とコペンファクトリーを除く本社工場(大阪府池田市)、ダイハツ九州の大分第1、第2工場(大分県中津市)を9~11日に停止する。中国でのロックダウンが原因で部品調達難となっており、軽自動車「タント」「ムーヴキャンバス」「ハイゼット/アトレー」のほか、トヨタ自動車向けOEM(相手先ブランドによる生産)車両の「ライズ」「ルーミー」など、様々な車種に影響が及ぶ見通し。

マツダも中国でのロックダウンが影響し、広島本社工場(広島市南区)と防府工場(山口県防府市)で連休明けの9~11日の3日間の操業を停止する。「CX-5」や「CX-30」などの生産に影響が出ると見られる。

影響は乗用車メーカーだけでなく大型車メーカーにも波及している。いすゞ自動車は、16~20日の4日間に主力の工場である藤沢工場(神奈川県藤沢市)の車両組立てラインの稼働を停止する。同社は、具体的な停止理由については言及していないが、部品調達に支障をきたしたため生産を止める。

一方、スバルは排気量1.8リットルガソリンエンジン「CB18」のセンサー部品の不具合のため、4月上旬から該当エンジンを搭載した「レヴォーグ」「フォレスター」「アウトバック」の出荷を取り止めた。出荷再開には2カ月半程度を要する。同社も他メーカー同様に部品調達難の影響を受けているが、今回の不具合は車両供給正常化の足かせとなりそうだ。

日本の乗用車メーカー8社の2022年3月の世界生産実績は、前年同月比8.4%減の222万3563台だった。2月の実績は8カ月ぶりのプラスだったものの、3月は再びマイナスに転じた。生産に合わせて3月の販売実績も振るわない。日本メーカーの生産を取り巻く環境は中国のロックダウンなど依然として懸念材料が山積しており、販売回復の原動力である長納期化の解消にはしばらく時間がかかるとみられる。