ヤマハ発動機は10日、2024年12月期に売上高を2兆2千億円以上に引き上げる3カ年の中期経営計画を発表した。3年間平均の営業利益率目標は前中計の7・5%を上回る平均9%以上に設定した。21年12月期までの前中計では構造改革による収益性の向上に注力し、直近の1年間では過去最高の売上高と営業利益を更新した。新中計では戦略事業領域やカーボンニュートラルへの投資を拡大する方針で、3年間で開発費や成長戦略にかかる費用を前中計比2割増の4千億円に、設備投資を同5割増の2800億円に引き上げる。

 新中計では各事業を新規事業、成長事業、コア事業、構造改革事業に分類し、経営資源の配分を最適化する。モビリティサービスや低速自動走行などの新規事業は事業化に着手し、売上高を最終年度までに300億円に引き上げる。コア事業に位置付ける二輪車事業ではインドなど新興国でのプレミアム戦略を推進し、収益性を高めることで、電気自動車(EV)の開発などの原資を捻出する。「少なくともモーターと制御は手の内化する」(日髙祥博社長)とEVの開発を加速する方針で、静岡県の本社敷地内に新設した建屋に24年にかけてモーターベンチや水素供給装置、カーボンニュートラル燃料タンクなどの設備を順次設置する。一方、収益性が低い発電機や汎用エンジン事業は構造改革を推進する。