コロナ禍の収束後に再びバス運転者不足の深刻化が予想される中、日本バス協会は会員事業者を対象に「バス運転者の確保方策に関するアンケート」を実施し、結果を公表した。運転手確保の方策として高齢者や女性の活用、募集活動の強化を挙げた回答が多く、半数以上の事業者は今後積極的に募集する方針を示した。一方で、長い拘束時間や低い給与水準などの問題も指摘され、今後の採用の難しさも改めて浮き彫りになった。調査は昨年10月、同協会労務委員会および労働問題研究会に所属する事業者66者を対象に実施し、43者の回答を得た。

 運転者の確保の方策(複数回答)で最も多かったのは「定年延長、定年後の再雇用などにより60歳以上の運転者の活用」で回答数は40者だった。2番目は「募集活動を強化する」で33者、次いで「女性運転者の採用を進める」が30者、「自社養成制度の活用を図る」が28者。また、各種支援金制度や待遇改善で人材の新規確保・維持を図るとの回答も複数の事業者から出された。

 運転者の募集については、需要回復を見込むことや現状の人手不足を理由に募集を進めるという「募集積極派」が25者、コロナ禍収束が見通せず、募集人員を減らすほか需要回復を待って再開を考えるという「募集消極派」が17者だった。

 今年5月の大型二種免許取得要件緩和を見据え、自社養成を目的とした高校新卒者の採用増を検討していると回答したのは半数の22者だった。

 自由記載欄に書かれた課題を見ると「長い拘束時間と低い給与水準」「若い人の車離れ」「免許取得費用の負担」「事故の責任を負うという業務のイメージ」などが挙がり、採用の障害になっていることが改めて浮き彫りになった。

(2022/1/31修正)