国土交通省関東運輸局は、2018年から今年上半期までの管内運送事業者の健康起因事故報告件数を公表した。3年半で計321件報告があり、このうち7割は運転手が事前に異常を察知して業務を中断するなどして、人的・物的被害を伴う交通事故には至らなかった。疾病内容では、主に循環器系疾患の異常が事故につながっていることが裏付けられた。
事故報告件数は、毎年80~100件程度で推移した。運転手が事前に身体の異常を察知して業務を中断するなど、人身・物損事故に至らなかった割合は毎年7割程度と、年別の傾向はほぼ変わらなかった。
疾病内容を見ると、その他を除いた疾患で「心臓疾患」と「脳疾患」がそれぞれ50件を超えた。3位の「大動脈瘤及び解離」を含めて、上位3疾患は全て脳・循環器系が占めた。
業態別で見ると、毎年バスが4割を超えており、2~3割程度に収まっているハイタク、トラックに比べて割合が高かった。しかし、同局では「理由は分析しておらず、バスが多い理由は分からない」(自動車技術安全部)とした。
同部の家邉健吾部長は健康起因事故について「明らかな増加傾向とまでは言えない」としながらも、事故原因としての深刻さは変わらないとして、健康診断など事前の健康状態把握の必要性を強調した。