マツダは中国事業を再編する。24日、中国合弁会社の一汽マツダ汽車販売の株式を、同じく中国合弁会社の長安マツダ汽車が60%取得し、子会社化すると発表した。長安マツダはマツダと重慶長安汽車に加えて、中国第一汽車が新たに出資することで3社の合弁会社体制とし、中国一汽が保有していた一汽マツダの株を長安マツダが取得する。将来的には長安マツダがマツダの持つ一汽マツダ株40%を取得することで完全子会社化し、中国事業の軸を長安マツダに据えることで運営体制の最適化を図るとともに事業強化につなげる考えだ。

 現時点におけるマツダの中国事業は、長安マツダと一汽マツダの合弁会社の2社体制で展開している。一汽マツダはマツダが中国一汽に生産委託するセダン「マツダ6」やSUV「CX―4」を販売、一方で長安マツダはコンパクト「マツダ3」やSUV「CX―30」などの生産と販売を担う。一汽マツダはマツダが40%、中国一汽が60%を出資、長安マツダはマツダと長安汽車がそれぞれ折半出資する。一汽マツダの2020年1~12月販売台数は7万7907台、長安マツダは13万6667台だった。

 新体制では、中国一汽が保有する一汽マツダの株を長安マツダに移すことで、長安マツダの出資比率はマツダと長安汽車がそれぞれ47・5%、中国一汽が5%となる。これにより、一汽マツダの株は長安マツダが60%持つことになる。今後、長安マツダがマツダから残りの40%も買い取り、出資比率を100%まで引き上げる計画だ。

 出資構成変更後も中国一汽でのマツダ車の生産は継続し、一汽マツダの販売も引き続き行う方針だ。ただ、長安マツダに販売事業を集中する新体制では、さまざまな効率化策を進める過程において販売チャンネルの一本化などに踏み込む可能性がある。

 マツダの中国の20年新車販売台数は前年比5・8%減の21万4574台と、コロナ禍後の回復需要をつかみきれず、トヨタ自動車(同10・9%増)やホンダ(同4・7%増)に比べて苦戦を強いられているのが現状だ。マツダにとって世界販売に占める中国の販売比率は米国に次ぐ規模となり、今回の事業体制の見直しを通じて主力市場での巻き返しを図る。