自動車のサプライチェーンは世界各地の影響を受けやすい(写真はイメージ)

 東南アジアで新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けて自動車生産のサプライチェーンが大きなリスクにさらされている。トヨタ自動車はベトナムやマレーシアからの部品供給に支障が生じることなどから9月に当初計画から約36万台減産することを決めた。ダイハツ工業も同様の理由で8月と9月に一部工場の稼働を停止、減産規模は3万~4万台に及ぶ。ホンダや大型車メーカーも東南アジアからの部品調達難を理由に工場の稼働を一時停止するなど、影響が広がっており、自動車各社はサプライチェーンの見直しを迫られる。

 自動車各社は昨年春のコロナ禍の影響で、中国を中心とするサプライチェーンの寸断や物流の混乱で一部が生産調整を実施した。昨年末以降は、世界的な半導体不足で自動車生産に影響が及んでいるが、自動車部品の生産拠点が多い東南アジアの感染拡大が新たなサプライチェーンのリスクとして浮上している。

 トヨタはコロナ禍における部品調達難や半導体不足に直面する中、直接取引のない2次や3次の部品を含めてサプライチェーンを見える化する「レスキュー」を活用することで、生産への影響を最小限にとどめてきた。ただ、半導体需給のひっ迫が長期化していることから今年の6月にトヨタ自動車東日本(TMEJ)の2工場の稼働を停止した。

 さらに東南アジアにおける感染拡大によって調達に支障がでている部品があり「想定するよりもコロナ影響が早く、深くきた」(長田准執行役員)ことから、9月に国内外で大規模な工場の稼働停止に追いやられる。今回の減産規模は約36万台で、コロナ禍の需要減で減産に踏み切った昨年6月以来の水準。

 ダイハツも同様にマレーシアとベトナムからの部品調達に支障が出ることを理由に、国内生産拠点で、最大17日稼働を停止する。ダイハツは昨年4~6月にも同様の理由で国内拠点で生産調整を実施した。ホンダは半導体不足も加えた複合的な要因から8月に鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)の稼働を7日間停止した。日野自動車やいすゞ自動車も東南アジアからの部品調達難で8月に工場を停止。

 トヨタやダイハツは今回の大幅減産について特定の部品について調達量を確保できないことを理由に挙げる。ベトナムなどで生産するワイヤーハーネスが影響しているとみられる。ワイヤーハーネスの生産は人手に頼る部分が大きく、代替調達が容易でない。トヨタでは10月以降に挽回生産に向けて動き出すが、トヨタの熊倉和生調達本部長は「ぎりぎりの計画の中で、たくさんは挽回できない」と話す。

 東南アジアでの感染拡大が深刻化する中、今後も自動車生産への影響は予断を許さない状況が続く。