LCVを生産するタイ工場

 いすゞ自動車のピックアップトラック(LCV)事業が好調だ。生産するタイ工場は、昨年春に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、昨年夏以降は回復、新型車の輸出も本格化したことで、2020年度下期(10月~21年3月)の出荷台数は、前年同期比15%増と好調だった。21年度は新型車の輸出地域を増やす計画で、タイ工場でのLCV生産台数は過去最多になる見通し。商用車部門では、今年4月に子会社化したUDトラックスと生産領域でのシナジー創出を本格化する。

 20年度(4月~21年3月)の世界生産台数は同9%減の58万3千台だった。このうち全体の5割を占めるタイのLCV生産は同7%減の28万3千台だった。コロナ禍の影響を受けて工場の稼働を一時停止したものの、19年に全面改良した「D―MAX」の新型車効果で後半に巻き返し、1桁台のマイナスにとどめた。

 新型D―MAXの豪州向けの輸出を20年に開始したが、21年度にはフィリピンやマレーシア、ベトナム向けなども新型車に切り替える。高水準での生産を継続する計画で、21年度のタイでのLCV生産計画は同35%増の38万3千台を見込む。特に完成車の輸出台数を同81%増の14万1千台と大幅に増やす計画だ。

 強気の生産計画を掲げるが、半導体不足と、東南アジアでの感染拡大が懸念材料だ。21年4~6月期では半導体不足の影響でLCVの生産に1万台の影響があった。現在のところタイ工場の稼働は継続しているものの、東南アジアでの感染拡大によって部品供給に一部支障が出ている。需要は堅調なため、残業や休日出勤で影響を最小限に抑えようと取り組むものの、需給のひっ迫は続いている。

 20年度の国内生産は同19%減の18万1千台と低迷した。19年度に排ガス規制強化に伴って小型トラックの駆け込み需要があったことから、20年度は反動減の影響があったほか、コロナ禍の影響によるバス市場の縮小も直撃した。

 いすゞが今年5月に発表した新中期経営計画に掲げた目標は23年度に売上高2兆7500億円、営業利益2500億円。20年度の業績は売上高が1兆9082億円、営業利益が957億円で、高い成長軌道を描く。成長の原動力になるとみているのが500億円規模の効果を見込むUDトラックスとのシナジーだ。

 生産領域では、早期にUDトラックスと国内の物流分野で協力を進めてコスト削減を図る。また、UDトラックスの生産拠点を含めて海外生産ネットワークの最適化を3年以内に実行する。いすゞの主力生産拠点である藤沢工場(神奈川県藤沢市)についても、中計期間中に生産能力の増強や生産効率化のための投資を拡大、収益力を伴う事業拡大を図る方針だ。

=おわり=