ヤマト運輸は3日、医薬品販売のアルフレッサ(福神雄介社長、東京都千代田区)と共同で、ビッグデータや人工知能(AI)を活用し配送業務量の予測と適正配車を行うシステムを開発したと発表した。新システムによって配送時の走行距離削減などが可能となり、生産性が従来比で最大20%向上できるという。配送時の二酸化炭素排出量は同25%削減と試算した。今月から首都圏のアルフレッサの支店に導入して順次、全国展開する。デジタルを活用して医薬品の配送を効率化し、さまざまな社会課題の解決につなげる考えだ。
医薬品の配送は、高齢者人口の増加や物流ドライバー不足によって負荷が増えている。さらに、新型コロナウイルス感染症のリスク予防として、医療機関で納品時の対面時間短縮などが求められるようになった。こうした中、両社はこれらの課題解決に向けて、2020年7月に業務提携を結び、ヘルスケア商品配送などのスキーム構築に乗り出した。
その成果の第一弾が、今回開発したシステム。配送業務量予測システムではアルフレッサがこれまでに蓄積した「販売」「物流」「需要トレンド」などのビッグデータをAIで分析し、顧客ごとの注文数や納品にかかる時間など配送業務量を予測する。その情報をもとに効率的な配送計画を自動作成する。従来は固定ルートで配送していたが、新システムによって配送内容と届け先に応じその都度ルートを変更、最適化して走行距離を減らす。
これにヤマトが蓄積してきた物流、配車のノウハウを加え、渋滞などの道路情報を活用して効率的な配車計画を作成する。業務量が多い場合にはヤマトの人員、車両を活用して配送遅れを回避するスキームを組んだ。
また、アルフレッサは感染症対策の一環として、医療機関への納品時に検品作業を不要にして配送員と医療従事者の対面時間を極力なくすため「パッケージ納品」という事前検品を実施している。今回のシステムとデジタル機能の活用によって事前検品が増やせるため、対面時間がさらに減少するとした。