HWエレクトロが7月に発売する商用EV「エレモ」と蕭CEO
再び脚光を浴び始めた三菱自「ミニキャブ・ミーブ」。販売拡大に向けてテコ入れ策を急ぐ

 国内市場で小型の商用電気自動車(EV)に商機を見出そうとする動きが広がっている。海外で生産した商用EVの販売に乗り出すスタートアップ企業が出てきたほか、三菱自動車やホンダなど大手自動車メーカーも商用EVのニーズに着目。企業評価としてESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)を取り入れた経営が欠かせなくなる中、運行ルートや距離が限定的なラストワンマイル用の車両として訴求する動きが活発化しそうだ。

 「25年までに年2万台の販売を目指す」―。スタートアップ企業、HWエレクトロ(東京都江東区)の蕭偉城(ショウ・ウェイチェン)CEOは、同社が扱う初の小型商用EVを7月に発売するのを前に、企業における急速なEV需要の高まりに手応えを感じている。

 同社が発売するのは米セントロ社が中国で生産する小型のトラック。すでに米、独、仏、伊の4カ国で販売実績があり、全長3910㍉㍍、全幅1380㍉㍍と全長が軽自動車規格をわずかに上回るサイズだ。

 宅配やキッチンカーとしての利用を見込み、日本の保安基準に適合した仕様も完成した。22年後半には自社開発の軽トラックと軽バンの販売を計画。「将来的には家電量販店などでも販売できれば」(蕭CEO)と販売拡大に自信を見せる。

 国内でEVへの関心は高まっているものの、乗用EVの普及には充電インフラの拡充が欠かせないなど、課題は少なくない。一方、配送事業者などがラストワンマイル用として活用する車両は、一定の範囲内で運行するケースが多く、外部の充電インフラに頼る必要がないのが特徴だ。

 ドイツポストDHLグループ傘下ストリートスクーター日本法人の白木秀司社長は「ラストワンマイルのユースケースだと、1日の走行距離は40㌔㍍ほど。夜間に充電すれば航続可能距離が150㌔㍍あれば十分」と指摘する。

 同社は、宅配大手のヤマト運輸と小型の宅配用電気トラックを共同開発し、国内で約500台を納めている。親会社DHL向けも含めて22年末に製造を終了する計画だが、世界的なEV需要の高まりを受けて、今後の方針を再検討しているとみられる。白木社長も「この1年でEV導入への投資意欲が急速に高まっている。製造、外販の継続を独本社に働きかけていきたい」と日本での事業拡大に意欲的だ。

 国内メーカーも、こうした商用EV需要の高まりに対応しようと動き出している。三菱自は、販売台数の落ち込みで存続の危機にあった「ミニキャブ・ミーブ」の商品力を2~3年をめどにテコ入れする方針で、社内に販売戦略を練り直すプロジェクトチームを立ち上げた。「Eコマースの拡大で軽キャブバンEVへの需要は確実に増える」(石川善太国内営業本部長)とみており、法人に向けた提案体制の再構築を急ぐ。

 またゼロエミッション車専業メーカーを目指すホンダも軽商用車への関心を高めている。日本本部長の安部典明執行役常務は「法人からはSDGsの観点からも早くEVがほしいという声がある。確実に需要がある所から進めたい」と、商用車がEV市場拡大の足掛かりとなるとみる。

 4月には宅配大手の佐川急便が、EVベンチャーのASF(飯塚裕恭社長、東京都港区)と共同開発した軽商用EVを来年9月にも使用開始し、同社が使う約7200台を30年までに入れ替えると発表した。HWエレクトロの蕭CEOは「乗用車で大手自動車メーカーに勝つのは難しい。ライバルが少ない今のうちにマーケットシェアを握りたい」と強調。新興企業ならではの機動力で新たな市場を開拓していく考えだ。