日野自動車は9日、小型電気バス「ポンチョZ EV」を2022年春に発売すると発表した。足元で急速に高まる電気自動車(EV)のニーズに応えるため、中国・EV大手の比亜迪(BYD)からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けて自社ブランドで販売する。日野のアフターサービス網や新たに開始するEVの運用支援サービスといった独自の価値を付加し、導入を促進する。

 ポンチョZ EVは広いフルフラットエリアと低床・ノンステップ構造とし、車いすやベビーカーを使用する人にも使いやすいユニバーサルデザインを採用。外観はシンプルで丸みのある親しみやすさを重視した。コミュニティーバスでの使用を想定する。

 BYDの小型電気バス「J6」をベースとしており、車両サイズは全長6990ミリメートル、全幅2090ミリメートル、全高3060ミリメートル(参考値)。車両重量は約8千キログラムで乗員は約30人。航続距離は非公表だが、バッテリー容量は105キロワット時で「コミュニティーバスには必要十分な航続距離を確保している」(日野)という。

 小型電気バスの販売と同時に、今年5月に関西電力と設立した「キューブリンクス」が手がけるEV運用支援サービスも提供する。充電設備やITシステム、電力使用契約などをパッケージ化し、契約や支払いの手続きを簡素化する。日野は今回、市場投入のスピードを重視してOEMで電気バスを商品化するものの、平行して自社開発の小型電気バス投入も検討する。