東海理化は20日、同じビルに入居する企業間で「社用車シェアリング」の実証を始めたと発表した。同社のデジタルキー技術を活用し、企業の枠を超えて社用車の稼働率を高め、コストの削減に役立てる初めての試みだ。早ければ来年の事業化を目指す。
東海理化と、デジタルキーで組むdotD(小野田久視CEO、東京都港区)のほか、住友商事九州(髙橋和之社長、福岡市博多区)、住友三井オートサービス(露口章社長、東京都新宿区)の4社で6月から実証を始めた。住友商事九州と住友三井オートサービス福岡支店が入居する博多駅前のビルで、2社が持つ10台ほどの社用車のうち、まずは1台をシェアリング車両に振り向けた。スマートフォンで予約すると、利用時刻にデジタルキーが配信され、車内に置いた東海理化製「キーボックス」からドアを解錠し、社用車を利用できる。このキーボックスは取り付けの手間が要らず、セキュリティーにも優れていることが特徴で、約80車種に対応している。
4社はシェアリング車両を増やすなどして来年3月末まで実証を続け、デジタルキーシステムを改善したり、コストの削減効果を試算したりする。その後、4社で事業化し、他のビルや企業に利用を広げていきたい考えだ。東海理化は、デジタルキー事業で2028年までに約100億円の売上高を目指している。
働き方改革やコロナ禍で進んだテレワークによりオフィス面積を見直す動きが出始める中、東海理化は社用車についても潜在的なコスト削減ニーズが大きいと判断。デジタルキー技術を使い、他社と組んで社用車シェアリングの事業化を試みることにした。