スマホで内部のスマートキーを操作するキーボックス

 東海理化は23日、車両のキーを非対面で受け渡す「デジタルキーシステム」をDeNA SOMPOモビリティ(DSM、中島宏社長、東京都渋谷区)に提供すると発表した。同社がデジタルキーを事業化するのは初めて。このほかにも引き合いがあり、同社は遅くとも来夏までに計画をまとめてデジタルキー事業に本腰を入れる考えだ。

 東海理化の「フリーキー for CAR」はスマートフォンと車内に置くキーボックス、ITシステムで構成する。デジタルキーを付与された利用者のスマホでキーボックス内のスマートキーを操作し、ドアの解錠やエンジン始動ができる仕組みだ。

 スマホや非接触型カードを使ってドアを解錠し、車内のキーを取り出す仕組みは他にもあるが、カードの読み取り機を車両に取り付け、施錠装置を改造する必要もある。純正のスマートキーを使う東海理化のシステムは車両を改造する必要がなく、導入費用が安価で済む。ただし、スマートキーの形状やボタン数などにキーボックスを適合させる必要がある。現在は国内外の約300車種で使える。

 DSMは、個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」で所有車を貸し出す会員向けに「エニカキー」として来年3月から無料で提供し、2022年4月から月額1650円の有料サービスに移行する。利用者にとっては、車のキーを受け渡す手間が省ける利点がある。

 東海理化は自動車部品のノウハウを生かして今回のデジタルキーシステムを開発。データ・テック(田野通保社長、東京都大田区)やキムラユニティーなどと組んで事業化に取り組むほか、自転車や宅配ボックス、家庭用などへの応用も検討している。来夏までにはこうしたデジタルキー事業の計画をまとめ、本格展開する考えだ。