三菱自動車が11日に発表した2021年3月期決算は営業損益が953億円の赤字となった。22年3月期での達成を見込んでいた20%の固定費削減目標を1年前倒しでクリアした効果もあり、2月時点の予想と比べ、赤字幅は約50億円縮小した。22年3月期は、東南アジア市場の回復が見込まれるとともに、固定費削減効果が通期で効くため、2年ぶりの黒字となる300億円の営業利益を見込む。

 21年3月期の世界小売り台数は前年同期比29%減の80万1千台。販売台数の最も大きい東南アジアが同35%減と特に大きく落ち込んだ。売上高の減少によって1360億円の減益要因となったものの、間接人員の縮小による労務費削減で158億円の増益効果を捻出するなど、赤字幅を最小限にとどめた。

 22年3月期は、市場の低迷が続いた東南アジアも回復する見通しで、販売台数は同19%増の95万7千台に設定した。ただ、同社が上期で8万台分の影響が出ると見込む半導体不足が懸念材料になる。下期には4万台分を挽回する見通しだが、先行きは不透明だ。

 加藤隆雄社長兼CEOは「半導体が最も頭の痛い問題だが、コスト削減の体制がしっかりできているため、今期の黒字化は達成できる」と強調した。