日産はニッサンネクストで12の新型車投入を掲げる

 日産自動車と三菱自動車が策定した事業構造改革の効果が鮮明になっている。新型コロナウイルスの感染拡大や半導体不足による販売台数減の影響を受けるものの、2021年3月期通期の営業損益で日産は1350億円、三菱自は400億円それぞれ前回予想から改善する見通し。固定費削減効果が想定を上回って推移していることに加え、新型車の投入効果も業績をけん引する。外部環境が不透明な中でも、両社はそれぞれ21年度の黒字化に自信を見せる。

 日産が昨年5月に公表した23年度までの中期経営計画「ニッサンネクスト」は販売の質向上とコスト最適化により収益体質の改善を目指す。コスト面では、世界生産能力の2割削減や一般管理費が15%低減することなどにより、20年度までに18年度比で固定費を3千億円縮小する。9日の決算発表で内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は「最新の見通しでは、新型コロナの感染拡大の影響で一時的に減少したものなどを除くと3300億円程度の削減になる」と強調し、想定以上の削減効果に自信を示した。

 ニッサンネクストで掲げる各施策が順調に進み、固定費は4~12月期累計で前年同期に比べ約12%削減。四半期ベースでみると、10~12月期は4四半期ぶりに営業黒字に転換し、営業利益率は1・2%と前年(0・9%)を上回り、業績回復の兆しが出ている。

 収益改善には、相次ぎ投入する新型車の稼ぐ力も寄与している。中期経営計画で公表した12の新型車に対し、第1弾の「キックス」を皮切りに、北米向け新型「ローグ」やインドを中心とした「マグナイト」などを相次ぎ発売。昨年12月に8年ぶりに全面改良した新型「ノート」は、発売後約1カ月の受注台数が月販目標の2・5倍に達し、好調な滑り出しとなった。

 4~12月期累計の台当たりの売上高は前年同期比1・7%プラスに改善した。来年度も「アリア」「パスファインダー」など新型車投入の勢いを継続する。

 内田社長は「日産らしさを取り戻し、アライアンスとも緊密に連携してマイルストーンである21年度の営業利益率2%達成へつなげていきたい」と持続的な成長に注力する考えを示す。

 三菱自の22年度までの中期経営計画「スモールバットビューティフル」の効果も表れている。21年度末までに19年度比で固定費を20%以上削減する目標を設定。パジェロ製造の閉鎖や欧州向け新規車両開発の凍結のほか、希望退職制度の利用者が募集人数を上回るなど各施策が進む。2日の決算会見で池谷光司代表執行役最高財務責任者(CFO)は「固定費は20年度内に18%削減できるめどがついた。希望退職制度などの施策も来年度から効果がフルに出てくる」との期待を口にする。

 新型コロナの感染拡大などを受け、通期の販売見通しを前回から2万2千台減の80万2千台に下方修正した。ただ、21年度は20年度見通し比で35万台上積みする計画。プラグインハイブリッド車(PHV)モデルを追加した「エクリプスクロス」や8年ぶりのフルモデルチェンジとなる北米向け新型「アウトランダー」などで販売に弾みをつける。

 日産、三菱自はともに21年度の黒字化を見込む。新型コロナの感染再拡大など外部環境に不透明さが漂う中でも「来年度は着実に利益を生める」(内田社長)、「より強く黒字化ができる」(池谷CFO)とし、これまでの成果を踏まえさらに事業基盤の強化の取り組みを加速する。