eキャンターゴミ収集車のイメージ

 三菱ふそうトラック・バスは10日、電気トラック「eキャンター」をベースとしたゴミ収集車を神奈川県厚木市に納入すると発表した。走行から架装部の動力まですべて電気でまかない、走行中の二酸化炭素(CO2)排出をゼロとする。充電はゴミ焼却時に発電した夜間の余剰電力を使用することで環境対応を進める。2022年3月までに1台導入し、5年間のリース期間でゴミ収集車の電動化に対する課題を洗い出す。

 同日、厚木市と架装を担当する新明和工業と「電気ゴミ収集車の普及・促進に関する協定」を結んだ。三菱ふそうが電気ゴミ収集車を納入するのは初めてで、量産電気トラックをベースとしたゴミ収集車実用化は国内初のケースとなる。式典に出席したハートムット・シック社長は「(政府目標の)2050年のカーボンニュートラル実現に向けては今から準備を進めていく必要がある」と述べた。

 三菱ふそうは車両のみならず充電器設置など電気ゴミ収集車導入に必要なソリューションを提供する。導入するゴミ収集車の満充電時の走行可能距離は約100キロメートルで、ゴミ収集の想定走行距離は1日約80キロメートル。集めたゴミの焼却発電で夜間に充電し、普通充電に要する時間は11時間という。車載通信機によって走行状況や架装部の状態のデーターを収集し、今後の車両開発に生かす。

 脱炭素の取り組みは地方自治体でも広がっている。厚木市の小林常良市長は「(温室効果ガス排出量削減の)目標達成は厳しいが、それを進める第一歩になる」と述べ、今回の導入結果を踏まえて今後電気ゴミ収集車を計3台程度導入する考えを示した。