日本電産は5日、自動車用トランスミッションや減速機などの生産設備を製造・販売する三菱重工工作機械(若林謙一社長、滋賀県栗東市)の事業と株式取得に関する譲渡契約を締結したと発表した。日本電産は、モーターとインバーター、減速機を一体化した「E-Axle(イーアクスル)」の拡販に注力している。現在中核部品であるギアは外注しているが、今後の本格的な需要拡大に対応するため、同製品の主要部品の内製化を進めている。今後は三菱重工工作機械が持つギア生産設備などの技術と知見を取得し、需要の高まりへの対応と低コスト化を目指す。

 日本電産は、2030年にイーアクスルの販売台数1000万台達成に加え、同年までに電気自動車(EV)のトラクションモーターで世界シェア40~45%の獲得を目標に掲げる。今回の買収により、急拡大するEV市場に対応するための量産体制構築の具現化に乗り出した形だ。スケールメリットを生かしてコスト競争力も追求する。

 三菱重工工作機械は、日本(滋賀県栗東市)と米国、中国、インドに生産拠点を展開するほか、海外販売会社は米国、中国、インドなど9社を構える。2020年4月時点の従業員数は約1400人。20年3月期の売上高は403億円で、21年3月期の売上高は231億円を見込む。

 1月25日に開催した21年3月期第3四半期決算会見で、永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)はイーアクスルの量産体制について「M&A(合併・買収)を通じて技術を持っているところに参加してもらう」と話していた。車載事業を担当する関潤社長も「(本格化する量産に向けて)部品や設備を内製化して外部に頼らないことで、(外注するよりも)短時間・低コストで生産できる」と内製化に向けたM&Aを積極化する姿勢を示していた。