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 国土交通省関東運輸局東京運輸支局は、都内のいわゆる“危険なバス停”が、全体の約1%に当たる224カ所存在していることを公表した。これを受けて東京バス協会(会長=山口哲生東急バス社長)は4日の記者会見で、3段階ある危険度のうち最も危険とされる「Aランク」20カ所について優先的に対策を行う一方、224カ所すべての対策の着手・終了には10年以上の長い期間が必要との見通しを示した。

 同省は、横浜市内で2018年8月、小学5年の女児が停留所に停車していたバスの後ろから横断しようとして対向車にはねられて死亡した事故を受け、全国の自治体や警察、バス業界団体などとともに調査を行っていた。

 都内には停留所が約2万カ所あり、このうち危険とされた224カ所のうち、人身事故が生じたり横断歩道にかかる状態で停車したりするAランクが20カ所、交差点にかかる状態で停車するなどのBランクが110カ所、住民の意見などで抽出したCランクが94カ所だった。

 対策には、停留所移設や廃止、横断歩道移設、信号やガードレール設置などがあるが、実現には行政や警察、地域住民との協議が必要になる。東京バス協会の内藤泉路線部会長(関東バス社長)は「すべて行うと、ものすごい時間がかかる。(対策が)できないものも出てくる」と述べ、早期解決は難しいとした。一方で、自社のAランク1カ所については、すでに移設を済ませたことを明らかにした。

 さらに危険化の原因として「停留所を置いた後に(宅地化などで)環境が変わって危険になったケースが多い」(内藤部会長)と述べ、山口会長も「事業者が危険なことを行っているのではない。そのような状況になってしまった。事業者だけの責任ではなく、警察や自治体などのご理解がないとできない」として、対策に時間がかかることへの理解を求めた。

 同協会関係者によると、都内は道路が比較的広く信号などの設備が整っているため、他県よりも危険な停留所の割合は低いという。