国土交通省は地域の移動手段として実用化が期待されている「ラストマイル自動運転車両システム」のガイドラインを策定した。産学官で構成する「先進安全自動車(ASV)推進検討会」で検討してきたもので、自動運転車の安全性確保のための走行環境や設計時に留意すべきポイントをまとめた。同省ではガイドラインの策定により自動車メーカーなどでの開発が促進され、早期の実用化・普及が期待されるとしている。

 ガイドラインではまず、ラストマイル自動運転について、最寄の駅やバス停と自宅あるいは目的地の間の比較的短い距離をSAE(米自動車技術会)が定める自動運転の「レベル3」(条件付き自動化)「レベル4」(高度な自動化)で走行することを指すと定義した。その上で、近い将来に実現が見込まれる移動サービスを念頭に、走行環境や車両設計時に留意すべきポイントを示した。

 ラストマイル自動運転車両の走行環境条件は、走行環境や運用方法の組み合わせによる自由度が大きく、全てを事前に網羅することは考えにくいとし、限定度合いが最も高いと考えらえる線路跡など限定された走行空間で往復路のみ運行する利用シーンでの条件をまとめた。

 対象道路は歩行者自転車専用道のうちラストマイル自動運転車が特別に通行できる道路とし、その走行経路は電磁誘導線などであらかじめ設定された経路とした。薄暮や大雨など、車両周辺を監視するセンサーが十分に機能しない天候の時は含まない。最高速度は時速12㌔㍍以下とする。

 この走行環境を走行する車両に求められる技術要件として、歩行者などと安全な間隔を確保または徐行すること、急な進路変更をしないこと、車内事故に留意して減速すること(緊急時は除く)、自動運転の継続が困難になった場合やシステム故障検知時に安全に自動停止すること、などを定めた。車内に乗客・乗員の使用を想定した運行停止手段を設置することや、自動運転中であることを周囲に伝達する外向き表示、システムの作動状態を記録する装置を備えることも挙げた。

 サイバーセキュリティーに関しては、その技術要件やプログラムの改変装置の技術要件に適合する必要があり、道路運送車両法の保安基準が定める要件や組織に求められる要件を満たしていることが望ましいとした。一方、物流/移動サービスに用いるために車両の運行を管理する者が存在すること、低速で走行する車両であり加害性が低いと考えられることを挙げ、同法保安基準第55条に規定された基準緩和制度を活用し、代替の安全確保策を講じることも考えらえるとした。