日産はアルミ端材のリサイクルにより、材料製造や廃棄にかかるロスを大幅に減らす

 自動車のライフサイクル全体での環境負荷低減が重要となる中、車両生産時に出たスクラップ由来の部品を新車に採用する動きが一段と広がっている。日欧自動車メーカーは、製造工程でより多くのエネルギーを消費するアルミニウムに着目。日産自動車は、アルミ端材をリサイクルして最終的に新型「ローグ」のドアやフードなどに適用した。アウディは、欧州の生産拠点へのアルミ端材のリサイクル手法導入を拡大する。資源の有効活用により、材料製造や廃棄にかかるさまざまなロスを防ぐ。

 日産やアウディが採用する「クローズドループ・リサイクルプロセス」は、生産時に出た廃棄物やスクラップなどを回収し、品質を保ちながらリサイクルして製品に採用する手法。資源を繰り返し利用するため、新規の資源採掘や製造、廃棄などの幅広い工程で省エネ化や持続可能性を追求できる。自動車に使う素材の中でも軽量部品向けに採用が進むアルミは、精錬過程などでの環境負荷が大きい。

 日産は、新車への再生材の採用拡大の一環としてクローズドループ・リサイクルプロセスを推進している。電気自動車(EV)の初代「リーフ」で一時期、同手法を適用していた。また、アルミ製フードなどを取り入れた「GT―R」の製造時に出たアルミ端材を使い、小型の鋳造部品向けに再利用してきた。

 こうした再生材の採用実績を基に、北米向け新型ローグでは、同手法の本格的な適用に乗り出した。神戸製鋼所やUACJのほか、米国のアルミニウム関連企業との協業により、日米の生産拠点でアルミ端材をリサイクルする体制を構築。ボンネットやドアの型抜きによって発生したスクラップをアルミ板に加工して、再び同車種の生産用に再出荷する。大型エア搬送システムにより細断した後、材種ごとに区別して回収することで不純物の混入を防いだ状態でサプライヤーに届け、アルミ板に仕上げる。原材料から同程度のアルミニウムを作るのに必要なエネルギーを90%以上節約する。

 フォルクスワーゲングループ傘下のアウディは、車体の軽量化に向け積極的にアルミ製部品を新車に採用している。資源とエネルギーを節約するため、二次材料の利用を拡大。17年にドイツのネッカーズルム工場に「アルミニウム・クローズド・ループ」を導入したのを皮切りに、インゴルシュタット工場にも取り入れた。プレス工程で発生したアルミ端材をサプライヤーに還元し、品質を確保しながらアルミ板にリサイクル。「A3」「A4」「A8」などのほか、EVの「e―tron(イートロン)」「イートロンスポーツバック」の一部に再利用している。

 20年6月には、同手法の導入により累計35万㌧以上の二酸化炭素(CO2)排出を削減したと公表した。また、スクラップ由来の二次アルミニウムの使用により、一次アルミニウムの生産と比較して必要なエネルギーを最大95%低減したという。21年にはハンガリーのジュール工場への導入を予定するほか、他の生産拠点にも展開を進める方針だ。

 世界的に脱炭素化の流れが進む中、車両単体の燃費だけでなく、原材料の採取から製造、廃棄に至るまでライフサイクル全体のCO2排出削減の重要性が増している。電動車の普及とセットで幅広い工程でグリーン化を推進する動きが今後も広がりそうだ。