ホンダはレベル3で先行するが、他メーカーは慎重だ
自動運転のレベル定義

 ホンダが自動運転レベル3に求められる国土交通省の型式指定を取得したと発表した。2020年度内に実用化する予定だ。自動車各社は自動運転の研究開発を加速しているが、自動運転レベル3は、その「分かりにくさ」から、実用化に向けた動きは鈍い。自動運転のレベルアップの本来の目標である交通事故死者数ゼロ社会に向けて、何が必要なのかを改めて見直す必要がある。

運転の主体はほぼシステム

 自動運転の「レベル」は、米国の自動車技術会(SAE)が定めた運転主体や、機能などに応じて6段階設定したものをベースとしている。現在、実用化されている自動運転の主流であるレベル2は、ハンドル・アクセル・ブレーキのうち、2つ以上をシステムが制御する「運転支援」だ。自動車各社がすでに実用化しており、一部では高速道路などの自動車専用道路で、ステアリングホイールから手を放すハンズオフも実用化されている。

 これがレベル3になると、運転の主体がほぼシステムとなり、緊急時など、システム側が判断した場合、人による手動運転に切り替わる。レベル3実用化のハードルが高いのは、条件付きながら、システムが運転の主体となるためだ。レベル2までは、基本的に事故が起こればドライバーの責任となるが、レベル3では、自動運転中の交通事故は自動車メーカーの責任になる可能性がある。

 国内では、2020年にレベル3を実用化するという自動運転を実用化するロードマップに沿って、今春にレベル3を実用化するための法規制が整備された。ただ、システムが作動するのは、前後に車両が存在し、時速60km以下が条件で、高速道路での渋滞時の自動運転を想定している。

 ホンダが2020年度中に市場投入する予定の「レジェンド」に搭載する自動運転レベル3のシステム「トラフィックジャムパイロット」(TJP)は、自動車専用道路で、時速が約30km未満になると自動運転に切り替えることが可能となる。片側1車線の高速道路や、急カーブ、サービスエリア・パーキングエリア、料金所などは、渋滞時でも自動運転の対象外だ。そして時速が50kmを超えると、自動運転機能は停止され、ドライバーに運転操作が引き継がれる。システムがドライバーに運転引き継ぎを要請して、10秒以内にドライバーがアクションを起こさない場合、自動で停車する。

 これに対して、日産自動車が「スカイライン」に設定した先進運転支援装置「プロパイロット2.0」は、レベル2でありながら、自動車専用道路で、渋滞だけでなく、制限速度内なら時速100kmの高速走行時もハンズオフ運転が可能。前走車がいなくても自動走行する。プロパイロット2.0の方が、ホンダのTJPより自動運転のレベルが高いようにも見える。