飯村会長

 日本工作機械工業会(日工会)の飯村幸生会長は30日、定例記者会見で、2020年の工作機械の受注総額が前年比4割減となる8500億円程度になるとの見通しを発表した。自動車メーカー、自動車部品メーカーの工作機械需要が減少していたところに新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、10年ぶりに受注総額が1兆円を割り込む見込み。

 日工会では、年初に20年の工作機械受注総額を1兆2千億円と予想していた。その後、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって3月以降、受注が大幅に落ち込んだものの、感染の収束が見通せないことから見通しを修正していなかった。

 20年1~8月累計の受注総額は、前年同期比37・2%減の5478億円と大幅に落ち込んでいる。内訳は内需が同40・2%減の2064億円、外需が同35・2%減の3414億円。

 工作機械の需要は半導体製造装置などの一部で回復しており、年末に向けて徐々に回復して20年の受注総額が8500億円前後になると予想する。内訳は内需が同21%減の3千億円、外需が同25・3%減の5500億円と予想。感染拡大に伴うさらなる行動制限や、米中貿易摩擦、自動車関連の受注低迷が今後のリスクになると見ている。

 飯村会長は「自動車業界は投資のターゲットがハードからソフトに移行している」としており、自動車関連の工作機械の需要回復には時間がかかるとの見方を示した。

 一方、8月の工作機械の受注総額は前年同月比23・2%減の680億円と、5カ月連続で700億円を割り込んだ。内需は自動車が4割減となるなど、依然として不振で同38・5%減の231億円、外需がメキシコで自動車関連の大型受注があったことなどから同11・8%減の449億円と1割減にとどまった。