トヨタ自動車は30日、7月1日付で役員体制を変えると発表した。豊田章男社長を含め23人いる「執行役員」の役割を明確化して9人まで減らす一方、これ以外のカンパニープレジデントや地域CEO(最高経営責任者)、本部長を「幹部職」に一本化して権限委譲を進める。執行役員を「機能を超え、会社全体を見据えて社長と経営を進めるメンバー」、幹部職を「実行部隊のトップ」と位置付けた。「執行役員、幹部職はその時々の役割であり、課題や進むべき道に応じてメンバーを変更する」とトヨタでは説明している。

 トヨタは今年4月、副社長職を廃止して「執行役員」に一本化。ものづくりや開発など領域ごとの「チーフオフィサー」、カンパニープレジデント、地域CEO、トヨタ生産方式(TPS)や国内販売などの「機能担当」に割り振った。意思決定の階層を減らすとともに若手幹部を積極的に抜擢し、次世代のリーダーを見極める狙いもある。一方で、これまで進めてきた「適材適所」に基づく改革を加速させるため、こうした担当制度とは別に執行役員の役割を明確にすることにした。

 新たな執行役員は豊田社長、河合満氏や寺師茂樹氏など4人の元副社長に加え、経理本部長も務める近健太チーフ・ファイナンス・オフィサー、技術を統括する前田昌彦チーフ・テクノロジー・オフィサー、「ウーブンシティ」を担当するジェームス・カフナー・チーフ・デジタル・オフィサー、総務・人事本部長の桑田正規チーフ・ヒューマン・リソーセス・オフィサーの合わせて9人になる。これ以外の執行役員は幹部職として現担当を担う。待遇は変わらず「むしろ権限の委譲が進むことで仕事の範囲が広がる」(同社)という。幹部職ではこのほか、白柳正義・渉外広報本部長が調達本部長との兼務を外れ、熊倉和生調達本部副本部長が調達本部長に就く。また、総務・人事本部の山本正裕・秘書部主査が社長室長として昇格する。