JFEスチールは27日、2023年度をめどに東日本製鉄所京浜地区(川崎市川崎区)の高炉1基を含む設備を休止すると発表した。粗鋼生産能力は全体の約13%に当たる約400万㌧減少する。設備休止で24年度以降に年600億円程度の改善を見込む。中長期的に国内需要の減少や海外メーカーの生産拡大による競争の激化を見据えて、国内最適生産体制の構築に向けた構造改革を実行する。

 同日会見した北野嘉久社長は、「新型コロナウイルスの感染拡大による影響ではなく、中長期的な構造改革だ」と強調した。中国やインドなど海外勢の台頭などで汎用品の競争力が低下しており、このまま生産能力を維持するのは難しいと判断した。今後は自動車用鋼板や電磁鋼板、エネルギー分野など「性能や品質でリードできる」(同)商品に資源を集中させる。

 東日本製鉄所京浜地区は、上工程と熱延設備を休止し、薄板生産は一部品種を除いて千葉地区(千葉市中央区)に集約する。建材向け厚板や鋼管の製造は、半製品の供給を受けて生産を続ける。設備休止で抑止できる老朽更新投資は今後10年間で約2千億円を見込む。

 千葉地区は自動車用鋼板を中心に製造する拠点として高炉一貫製造体制を維持する。23年をめどに高炉の改修も予定している。

 休止設備に関わる約1200人の従業員は配置転換などで雇用を確保するほか、約2千人のグループ・協力会社社員も地区間の異動を含めた対応を検討する。

 持株会社のJFEホールディングスは、設備休止に伴う減損損失約2200億円を2020年3月期連結決算に計上する。これにより、従来予想で130億円の黒字だった最終損益は1900億円の赤字になる見通しだ。