右・トヨタの白柳執行役員

トヨタ自動車の白柳正義執行役員は2月6日、東京本社での2019年度第3四半期決算の記者会見で、トヨタだけが好業績で1人勝ちとなっていることに部品メーカーや、鉄鋼メーカーなどの仕入れ先の不満が高まっていることに「反省していて、1件1件真摯に対応して信頼関係を築きたい」と述べた。

トヨタが同日発表した2019年4-12月期連結業績は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比6.2%増の2兆0587億円と好調で、通期業績見通しを前回予想から1000億円引き上げて2兆5000億円に上方修正した。

一方、トヨタ系サプライヤーの2019年4-12月期連結業績では、アイシン精機の営業利益が同52.2%減、豊田合成が同71.2%減となるなど、大手7社のうち、4社が3割以上の営業減益となっている。自動運転や電動化などの次世代技術の研究開発投資が大きな負担となっている。日本製鉄やJFEホールディングスなど、鉄鋼メーカー各社も大幅に収益が悪化しており、トヨタの好業績が、仕入先に対するコスト低減要求で成り立っているとの不満は強い。

白柳執行役員は、トヨタの取引先で構成する協力会に加盟する仕入先トップとの「小集団ディスカッションで、トヨタに対する不満や(過剰品質の見直しなどの)提案をいただいた」と反省。その上でサプライヤーとの関係は「日々、フランクに言いたいこと、言わなければいけないことを言い合える関係が1番の基本。今後、努力して劣っている部分を改善しながら、顧客が求める(品質を)見極めて競争力を大事にしていきたい」と、サプライヤーの負担となっている過剰な品質や、行き過ぎた原価低減を見直していく方針を示した。