政府は6日、危険運転を規定する自動車運転処罰法の改正案を閣議決定した。これまで危険運転の中に定められていなかったあおり運転を構成要件に盛り込む。すでに、道路交通法でもあおり運転による処罰を重くする改正案を国会に提出済み。自動車運転処罰法の改正で、あおり運転に起因して人を死傷させる行為を危険運転として取り締まりやすくなる。ドライバーに対する抑止効果を一段引き上げ、あおり運転による悲惨な交通事故による被害者を減らしていく狙いだ。

 今回の自動車運転処罰法の改正案は、第二条の危険運転の種類を示す項目に、重大な交通の危険が生じる速度で走行中の車の前方で停止や接近したりすることを追加する。さらに、高速道路など自動車専用道路上を走行する車両に割り込んだり、著しく接近するなどして停止や徐行させたりした場合も危険運転として認める。

 現行法では加害車両の速度がゼロだった場合などで、危険運転として認められない事例も散見されていた。改正案では被害車両だけ速度が出ていた場合や、双方が停止していても後続車に追突されるようなケースでも危険運転が適用できるようになる。

 交通事故まで至らなくてもあおり運転に巻き込まれたドライバーの被害報告は後を絶たない。国民の関心も高まり続け、社会問題化している。こうした背景から、政府は危険運転の範囲を拡大することを決めた。道路交通法の改正と合わせ、厳しくあおり運転を処罰していくことで、安全かつ安心な交通社会の実現につなげる。