第5世代移動通信システム(5G)の商用化が目前に迫っている。高速大容量、低遅延、同時多接続が特徴で、コネクテッドカーの増加や自動運転の実用化にも欠かせない技術。自動運転車は1台が1日に4 テラ バイト のデータを生み出すともいわれている。通信各社は自動車メーカーとの技術検証や自動運転車を遠隔操縦する実証実験などに参加し、5Gの有用性を確認している。自動車を含む製造現場での活用に向けた取り組みも動き出しており、5Gの利用用途は底が知れない。

 2019年は商用化を見据えた実証実験が各地で盛んに行われた。KDDIが複数台の遠隔監視型自動運転を実施して5Gの有用性を検証したほか、ソフトバンクは高速道路で先頭車両以外は無人のトラック隊列走行における車間距離自動制御に成功した。NTTドコモは、AGCなどと28㌐㌹帯の電波送受信が可能な「ガラス一体型5Gアンテナ」の実証実験を実施して5G通信に成功した。

 製造現場では5Gを活用した生産効率の改善などに向けた実証実験も動き出す。5Gで工場内の完全無線通信化や産業機械の無線制御が可能かなどを検証。完全無線通信となれば生産ラインをセルで独立させ、品目や量に応じて柔軟な組み替えを可能にする。