トヨタ自動車は、新型「ヤリス」を2020年2月10日からネッツ店やトヨタモビリティ東京を通じて販売すると発表した。スモールカー「ヴィッツ」の後継車で、新型車からグローバルの車名に統一する。プラットフォームやパワートレーンを刷新、走行性能や乗り心地の向上を図った。価格(税込み)は139万5000~249万3000円と、現行ヴィッツよりも高く設定、ガソリンの量販グレードで約9万円の値上げとなる。ハイブリッド車(HV)は世界最高水準の燃費性能を持つ。月販7800台を見込む。

ヴィッツのライバルのホンダの「フィット」は、電動駐車ブレーキの不具合問題から新型車の国内市場投入がヤリスと同じ2020年2月にずれ込むため、ほぼ同時期の販売となる。ただ、新型フィットは電動駐車ブレーキの問題から、全グレードで後輪ブレーキをドラムからディスクに変更、当初の想定より価格を上げる見通し。新型車ヤリスが価格アップを9万円に抑えたことから、新型フィットの価格が注目される。

ヤリスは車体寸法をヴィッツからほぼ変えず、高張力鋼板を多用するなどして車両重量を約50キログラム軽くした。トヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャ(TNGA)に基づく新開発の小型車用「GA-Bプラットフォーム」を採用した。1.5リットル直列3気筒直噴エンジンや無段変速機(CVT)も新たに開発した。HVは主要部品を刷新し、小型で高性能なリチウムイオン電池を搭載する。HVの燃費はWTLCモードで36.0キロメートル/リットル。旧JC08モードでは45キロメートル/リットルに迫り、クラストップレベル。トヨタの小型車として初となる電気式4WD仕様も設定する。

生産はトヨタ自動車東日本の岩手工場が担う。

トヨタ初の安全装備も多く採用する。予防安全パッケージ「トヨタ・セーフティセンス」は夜間の歩行者に加え、交差点右折時の対向直進車や右左折後の横断歩行者を検知する。駐車支援システムも進化、切り返す際に運転者がシフト操作するだけでスムーズに自動駐車できるようにした。

価格は量販グレードの場合、現行のヴィッツ「F」が150万9000円に対し、ヤリスの「X」が159万8000円と、約9万円上がる。HV車は約14万円の値上げとなる。

ヤリスの開発を担当した末沢泰謙チーフエンジニア(CE)は「走ることが楽しくなる真の軽快感や世界最高クラスの低燃費、機能的で無駄のない車内空間など、クラスレスな新世代コンパクトを目指した」と語った。