多様な電動の乗り物を後押しする

 経済産業省は14日、超小型モビリティや電動車いすなど、多様な移動体の普及案をまとめ公表した。超小型電気自動車(EV)が気軽に利用できる移動手段となるよう購入補助金を支給する。現行のEV補助金制度を活用して支援するため、2020年度予算の概算要求で計上した200億円の一部を充てる。全国の自治体を巻き込んだ新モビリティ実証実験の枠組みを活用して、観光地でのシェアリングや配送など具体的な用途の可能性を見つけ、横展開することで普及の後押しにつなげる。

 経産省は14日、有識者を交えた「多様なモビリティ普及推進協議会」で、超小型EVなどの普及促進策を提示した。想定しているモビリティは超小型EV、電動車いす、電動アシスト自転車、電動キックボード。超小型EVは、環境負荷が少なく、小回りが利くことや低速走行が特徴で、高齢者の新たな移動手段となる可能性を秘める。

 まだ、こうしたモビリティは、市場に投入されている種類や利用台数が少なく、法制度や安全性を整備中で、価格も高い。普及を後押しするため、安全性、社会受容性、価格の課題に対する施策を示した。

 価格面では、超小型EVに対して購入補助金を支給する。2020年度から現在のEVの補助金制度の枠組みを使ってサポートする計画で、補助額は今後詰める。安全装備の搭載などにより、車両価格が高くなることが予想される。補助金制度を使うことで購入者の費用負担を軽減する。また、電動車いすについては、普及台数を増やすことでコストを下げる考え。

 経産省と国土交通省の共同プロジェクト「スマートモビリティチャレンジ」のフレームを活用し、認知度向上と安全性の確保を目指す。地域のインフラに超小型EVを組み込むことで価値を高めるとともに、積極的に導入する自治体に対しての支援も検討する。このほか、各地での試乗体験会も設けて、多くの人が触れる機会を提供する。

 超小型EVの安全面では、国交省が、走行エリアを限定しない安全基準を今年度中に整備する方針だ。

 14日の協議会に出席した牧原秀樹経済産業副大臣は「安全で生活に必要なモビリティの確保がいろいろな課題の解決につながる。今回のとりまとめを受けて多様なモビリティの普及推進をさらに加速させるアクションにつなげたい」と語った。