加藤社長

三菱自動車は11月6日、間接員を中心に人員削減などのリストラを進める方針を明らかにした。同日発表した2019年4-9月期連結業績は当期利益が前年同期比95%減の26億円と大幅減益となり、通期業績見通しも下方修正した。収益力が低下していることから、人員削減に加えて、開発するモデルを絞り込むなど「聖域なくコスト構造改革を推進し、収益力の回復に全力をあげる」(加藤隆雄社長・CEO)方針。

業績が急激に悪化している中「昨年以降、間接部門の人員が急速に増加し、組織が肥大化している部分もある」(加藤社長)としており、人員削減と組織のスリム化に取り組む。効率性を重視して投資する市場や、投入するモデルを絞り込む。また、生産ラインの合理化や、販売拠点の集約・統廃合、広告宣伝費の見直しなど、コスト削減を徹底する方針で、2019年度中に詳細を詰めて2020年度に着手する予定だ。

同社の2019年4-9月期の販売台数は59万2000台で、前年同期と比べてほぼ横ばいだった。しかし、利益率の低い軽自動車の販売が好調だったためで、北米や中国で利益率の高いSUVの販売が低迷、モデルミックが大幅に悪化し、台数・車種構成の変化で109億円の減益効果があった。加えて、自動車業界のトレンドである電動化や先進運転支援システム(ADAS)・自動運転などに対応するため、研究開発費や労務費も大幅に増加している。

主要通貨が円高に振れたことなどもあって為替差損も発生、2019年4-9月期の営業利益はが同82%減の102億円と大幅減益となった。

2019年度下半期はモデルミックスの悪化や為替の円高水準といった減益要因に加え、中国、豪州、米国の新車販売が当初計画を下回る見通しとなったことから通期業績見通しを下方修正した。グローバル販売台数は前回予想から3万1000台減って127万4000台となる見込み。営業利益は前回予想から600億円マイナスの300億円、当期利益が600億円マイナスの50億円を予想する。

同社は昨年後半から「規模拡大から収益重視」に修正、コスト削減を進めてきたものの、世界的な新車市場の落ち込みや、トレンドの変化、為替の逆風が想定以上で「規模に応じたコスト構造の実現」(加藤社長)に向けて、人員削減を含めたリストラを本格化する。