実証事業用車両AR-07
ヤマハ発の低速モビリティ

ヤマハ発動機が電動ゴルフカートなどを活用した次世代モビリティサービスの事業化に向けた取り組みを本格化している。島根県雲南市、竹中工務店、NPO法人のETIC.と共同で、市民の移動用に電動小型低速車両が巡回する「グリーンスローモビリティ実証事業」を10月28日に開始した。三井住友海上火災保険、MS&ADインターリスク総研とともに、低速モビリティの実証実験や公道走行時のリスクマネジメントに関する協定でも合意した。ヤマハ発では、電動小型車両を活用して、過疎地域などの高齢者などの交通弱者の移動サービスを実用化して社会問題の解決に貢献していく。

雲南市は、65歳以上の人口割合が高まっているが、一方で地域住民参加型の地域創生や社会課題の解決に向けたチャレンジに盛んで、住民主導で医療ネットワークを構築するなど、新しいアイデアを積極的に採り入れている先進的な自治体。

グリーンスローモビリティ実証事業では、ヤマハ発のゴルフカートをベースにした電動小型低速車両「AR-07公道走行仕様」を2台使って、市内の駅、病院、地域交流センター、スーパーなど約4kmを巡回する。電動小型車両による巡回サービスの社会的受容性や運用体制を検証する。ラストマイルモビリティの利用機会を創出して、地域住民の外出機会を増やすことで、市民のコミュニケーション機会の増進や健康づくりを促すのが狙い。実証事業は12月6日まで実施する。

また、ヤマハ発は低速モビリティを活用したMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の実用化に向けて事業環境の整備にも乗り出す。三井住友海上、MS&ADインターとともに、雲南市での実証事業で、特有の保険・リスクマネジメントを研究する。これによって低速モビリティやMaaS関連商品・サービスと連携し、保険やリスクソリューションパッケージを開発する。

過疎化や高齢化の進展で、過疎地を中心に、バスやタクシーなどの公共交通ネットワークが維持できなくなり、交通弱者の移動手段確保が大きな社会問題となっている。ヤマハ発では、これらの地域でゴルフカートなどの低速モビリティが移動サービスに活用できると見ており、技術的な検証や、社会的な受容性を評価するとともに、事業環境を整備する。