新型D-MAX
いすゞの片山社長(左)

いすゞ自動車は、主力の1トンピックアップトラックの電動化を先送りし、今後もディーゼルエンジンを軸にした商品戦略を展開する。タイ政府は国内に電動車両の生産を誘致するなど、電動化を積極的に推進している。いすゞの片山正則社長は、タイでは「ピックアップトラックの電動化はまだ早い」と述べ、ディーゼルエンジンに引き続き注力する考えを示した。10月11日に発表した新型「D-MAX」(ディーマックス)は「結果的に設定しなかったものの、開発当初はハイブリッド車の設定も想定していた」という。

タイ政府は、2036年に電気自動車やプラグインハイブリッド車の普及台数を120万台に引き上げる目標を掲げており、電動車両や、関連する部品をタイ国内での生産を奨励している。これを受けてトヨタ自動車や三菱自動車など、日系自動車各社はタイで電動車の生産を拡大する方向にある。

いすゞは、ピックアップトラックの電動車の需要は低いと判断、新型D-MAXのハイブリッド化を見送った。いすゞはタイで製造しているピックアップトラックを世界各国に輸出しているが「欧州などでも(ピックアップトラックは)ディーゼル車が主力であることに変わりはない」(片山社長)として、電動化は先送りする構え。

フォード・モーターやテスラは、EV(電動)ピックアップトラックを投入する計画を表明だが、いすゞは今後もディーゼル車を主軸に据える。

ただ、片山社長は「準備はできており、政策的に必須になればその時に導入する」と述べ、電動車両の需要が見込める場合、市場投入する方針。