内閣府が中心となって関係府省や機関が連携して推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動走行システムの第2期(システムとサービスの拡張)に実施する東京臨海部実証実験の詳細が明らかになった。

2018年度から2022年度までの第2期では、将来、インフラ協調による高度な自動運転を実用化するため、周辺車両や歩行者、信号などの動的情報をダイナミックマップにのせて利活用する仕組みの構築を目指す。この一環として今回、東京臨海部で交通環境情報配信の実証実験を実施する。

実験にはトヨタ自動車や日産自動車などの国内自動車メーカー全社と、フォルクスワーゲン(VW)やBMWなどの外資系自動車メーカー、サプライヤー、大学、スタートアップなど、28機関が参加する予定で、実験車両は最終的に100台程度になる見通し。実験は2019年10月末から2020年末まで実施する。

実験エリアでは、信号や合流・ETCゲート支援、車線別道路交通などの情報を車両に配信するための760MHz帯の通信インフラを設置する。実験参加車両には、信号などの情報を受信せきる情報受信車載器と地図データを配布する。

信号情報実証実験では、何秒後に切り替わるかも含めた信号情報を車両に提供し、車載カメラでは認識できない環境下で、自動運転車が安全・円滑に走行できるかやインフラの設置条件などを実交通環境で実証する。

また、羽田空港と臨海副都心を結ぶ首都高速・空港西~汐留、空港中央~臨海副都心で、ETCゲートの稼働情報提供による円滑なゲート通過や、本線走行車両検知情報を送信して、視界を遮断する壁や短い加速レーンでも安全、円滑に合流できるかを実証する。ドライバーへの情報提供の有効性や、インフラ設置条件や優先順位付けなども検証する。

さらに羽田国際空港でインフラ協調による自動運転レベル4(限定地域で完全自動運転)の自動運転路線バスの運行も実証する。走路誘導磁気マーカーによる自動操舵や、バス専用レーンと信号制御による交差点バス優先通行システムで自動運転バスが定時走行できるかを検証する。車椅子利用者に配慮して、自動運転でもバス停に正着制御できるかも実証する。自動運転バスの試験は、2020年7月からで、一般の人7000人に体験してもらう予定。

参加事業者は、実証実験の計画さえ届けれて、実験後にデータを提出すれば原則、自由に実験できる。SIPでは、貸与した車載器から車両プローブ情報、インフラ情報、路側カメラで設営した画像などを収集し、一般車が混流する交通環境下での自動運転と周辺交通参加者の挙動をデジタルデータ化する。これによってインフラシステムと組み合わせた自動運転車が走行した場合、その挙動と、周辺交通流に与える影響を分析する。自動運転車の公道走行で一部指摘されている、あおり運転や幅寄せなどの意地悪、実勢速度と法定速度の乖離による渋滞発生など、課題を明確にしていく。収集したデータはシミュレーションによるマクロな影響や、自動運転車の普及による影響の分析にも活用していく。