自動車業界はCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)によって大きな変革期を迎えている。特に自動運転技術に関しては、自動車メーカーだけでなく、グーグル(アルファベット)のウェイモなど、異業種の存在感が高まっており、自動車メーカー各社は生き残りをかけて開発に注力している。

トヨタは、CASEでライバルに勝つためには「仲間作り」が鍵になると見ている。巨額の研究開発費を投じて開発した自動運転技術を、資本提携したスズキに供給する。子会社のダイハツ工業、日野自動車や、資本提携しているスバル、マツダにスズキを加え、自動運転領域で主導権を確保する狙いがある。

一方の研究開発投資が限られるスズキは、自動運転領域では他社に出遅れており、この領域でトヨタとの提携では互いにメリットが得られる「Win-Win」の関係にはなりにくく、従来のような業務提携でカバーするのは難しい。資本提携に踏み込んで長期的、安定した関係構築が求められる。ただ、スズキは巨大自動車メーカーのフォルクスワーゲン(VW)が19.9%出資して「対等な関係」をうたって資本提携したものの、VWがスズキを子会社扱いしたことから関係が悪化、6年間費やして最終的に提携解消となった経験があるだけに、資本提携には慎重だ。トヨタと2年間、公平・平等の精神での業務提携が継続されていることもあって、出資比率を5%にとどめて資本提携に踏み切った模様だ。

自動運転技術を巡ってはVWがフォード・モーターと業務提携したほか、ホンダもゼネラルモーターズ(GM)と提携するなど、自動車メーカー同士の提携が加速しているほか、日産自動車・ルノーがグーグル傘下のウェイモと無人自動運転車サービスで提携するなど、異業種との連携も目立つ。