経営再建中のジャパンディスプレイは6月12日、モバイル事業を大幅に縮小するとともに、1200人の人員削減すると発表した。経営不振の責任を明確化するため、9月30日付けで月崎義幸社長執行役員兼CEOが辞任する。今後は車載・ノンモバイル事業を強化する。

スマートフォンのディスプレイなどを手がけるモバイル事業はスマホ市場の低迷に加え、中国のライバル企業の生産能力増強に伴う価格の下落、米中貿易摩擦の影響などで同社の業績は悪化、2019年3月期まで5期連続の赤字となっている。加えてスマホの有機ELディスプレイの採用拡大や、スマホのライフサイクルの長期化で先行きも厳しい。

このため同社では、車載・ノンモバイル事業の強化を継続するとともに、モバイル事業の生産能力を削減するなど、モバイル事業を縮小する。具体的にはスマホ向けディスプレイを生産する白山工場(石川県白山市)の稼働を一時停止するほか、モバイル事業の後工程の生産を縮小するため、茂原工場(千葉県茂原市)の後工程ライン(V2ライン)を閉鎖、生産設備を売却する。白山工場は今後の需要動向を見ながら今年9月末までに再開するかを決める。

固定費を削減するため、早期希望退職は1200人を募集するほか、スマホ向けディスプレイを販売する中国子会社で数十人を削減、持分法適用関連会社であるJOLEDへの転籍も実施して人員を削減する。

経営責任を明確化するため、月崎社長執行役員兼CEOが希望退職の完了日である9月30日付けで辞任する。社外取締役の橋本孝久氏が会長、菊岡稔常務執行役員CFO(最高財務責任者)が社長執行役員兼CEOに就任して業務改革を推進する。迅速な意思決定を目的とした部門の統廃合と組織のフラット化、管理職ポストの半減を断行する。