日産自動車は、電気自動車(EV)「アリア」の米国向け生産を一時停止することを明らかにした。2026年モデルが対象で、27年モデル以降の対応は未定という。アリアは栃木工場(栃木県上三川町)で生産しており、トランプ米政権による追加関税や環境規制見直しなども背景にあるとみられる。
販売も現地の在庫がなくなり次第、いったん終了する。日産は「市場環境を注視し、適切な電動化製品ラインアップで需要に応えられるよう、対応していく。アリアは引き続きグローバルEV戦略上、重要な役割を担う」としている。
欧州や中国など他市場の対応は「未定」としている。
アリアは21年に米国市場に投入した。25年1~6月は1万1619台を販売。同時期の主力SUV「ローグ」(10万9563台)の1割ほどの水準だった。
経営資源を再分配し、新型「リーフ」の新型車効果を最大化する狙いもある。リーフは日産が米国で販売するEVの中で「最も低い価格帯からの設定となる予定」だという。ただ、リーフも9月以降の生産計画を下方修正したと報じられており、販売動向が注目される。
米政府による日本製の乗用車に対する関税率は16日に27.5%から15%に引き下げられたものの、4月以前の2.5%と比べると影響は大きい。トランプ政権はまた、EV補助金(税額控除)を廃止したり、温室効果ガスの排出基準を見直す動きを見せており、自動車各社はEV戦略の練り直しを迫られている。


