トヨタ自動車向けバルブ系部品などを主力とする太平洋工業は7月25日、創業家出身の小川哲史社長が全株式を持つ特別目的会社(SPC)が、自社へのTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。小川社長や父親の小川信也会長による、株式非公開化を前提としたMBO(経営陣が参加する買収)の一環。電動化に伴う先行投資といった中長期的な施策に注力するためとしている。
買い付け価格は1株あたり2050円と、24日の終値1461円を上回る。期間は7月28日から9月8日まで。小川社長、小川会長らが保有する株式はTOBに応募せず、TOB成立後も両者は引き続き、同社の経営にあたる。
同社は1930年創業で、本社は岐阜県大垣市。東証プライム市場と名証プレミア市場に上場する。祖業の自動車用バルブコアで世界シェア約5割、国内シェア約100%を占めるほか、プレス・樹脂製品やTPMS(タイヤ空気圧監視システム)を手掛ける。2018年に米シュレーダーグループのバルブ事業を取得した。25年3月期の連結売上高は2061億円、営業利益は136億円。
同社は25日開催の取締役会で、TOBに賛同の意見を表明することを決議した。理由として「自動車業界が大変革期を迎えている中、今後も中長期的に企業価値を向上させるためには、中長期的な経営施策を積極的かつ迅速に実行することが必要不可欠」などとしている。