政府は、日米関税合意を受け、非関税措置を見直す。電気自動車(EV)より燃料電池車(FCV)の方が補助額が多い現行の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」制度を見直すほか、日本に輸入された米国産乗用車の追加試験を一部免除する。米国側はCEV補助金や日本の認証試験が「日本車を優遇している」と問題視しており、関税交渉の過程で日本側が見直しの意向を示した。
日米両国は、米国時間7月22日に関税交渉で合意に達した。米国が日本に課す自動車と自動車部品への関税は、追加関税が25%から12.5%に引き下げられ、従来の2.5%と合わせて15%となる。一方で、米国が「非関税障壁」であると問題視していたCEV補助金や認証試験に関しては、見直しを行う。
現行のCEV補助金は、EVの補助額が最大90万円なのに対し、FCVは最大255万円と開きがある。元の車両価格を踏まえた上での措置だが、米通商代表部(USTR)は、3月に公表した「外国貿易障壁報告書(NTEレポート)」で、「日本メーカーが最も恩恵を受けている」と指摘していた。今後、EVとFCVの補助額の差が縮まるよう制度を改めていく。
また、充電器の設置に対する補助金制度に関しても、見直しを検討する。日本では「チャデモ」規格が普及しているが、米テスラなどは「NACS」規格を採用している。USTRは、日本の補助制度はチャデモ規格を対象としており、海外メーカーの参入障壁になっていると指摘していた。
あわせて、米国産乗用車の認証試験の簡素化も検討する。現在は、米国車を日本に輸入する場合、保安基準に適合しているか追加試験を行う必要がある。「日本の交通環境においても安全」であると判断した米国車に関しては、追加試験を不要とする。
具体的な見直し案やスケジュールは今後、詰めていく。
(2025/7/25更新)