特装車の「架装物」販売をめぐり、独占禁止法(不当な取引制限)違反にあたる価格調整(カルテル)をしていたとして、公正取引委員会(公取委)が極東開発工業と子会社の日本トレクス(高崎文弘社長、愛知県豊川市)に対して排除措置命令と課徴金納付命令を出す方針であることが6月30日に分かった。課徴金の総額は59億円。
課徴金の内訳は、極東開発が約26億円、日本トレクスが約33億円。両社は同日、処分に関する意見聴取通知書を公取委から受け取ったと発表。処分案に対して両社は「内容を精査、確認するとともに、公取委から説明を受けた上で今後の対応を検討する」とした。極東開発の2026年3月期の連結業績見通しへの影響は現在精査中で、判明次第速やかに開示するとしている。
2社に加えて、新明和工業とその子会社である東邦車輛(富田政行代表、横浜市鶴見区)の4社は24年11月に公取委の立ち入り検査を受けた。関係者によると遅くとも21年9月以降、新明和と極東開発の間で、ダンプカーやごみ収集車など、荷台に特殊な装備を施したトラック架装物の販売価格引き上げについて、複数回話し合いをして合意していた。
日本トレクスと東邦車輛の間でも、同時期にトレーラーの値上げについてカルテルを行っていた。ただ、新明和と東邦車輛については、公取委の調査前に自主申告したため課徴金減免制度に基づいて処分を免れるとみられる。
公取委は今後、極東開発と日本トレクスの意見を聞いた上で最終的な決定を下すとみられる。極東開発はウェブサイト上で「意見聴取通知書を受領したことを厳粛に受け止め、グループを上げてコンプライアンスの強化・徹底に努める」とコメントした。