公正取引委員会は12日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、架装メーカーの新明和工業と子会社の東邦車輛(富田政行代表、横浜市鶴見区)、極東開発工業と子会社の日本トレクス(高崎文弘社長、愛知県豊川市)へ立ち入り検査を実施した。トラック架装物に関して話し合いで販売価格の引き上げを決めていた疑いがあるという。

 同日、新明和工業は「立ち入り検査を受けたことを厳粛に受け止め、今後、公取委の調査に全面的に協力する」と公表した。また、極東開発工業の布原達也社長は「公取委の調査に対しては全面的に協力していく」とした。

 関係者によると4社は遅くとも2020年9月以降、ダンプカーやごみ収集車など、荷台に特殊な装備を施したトラック架装物について、話し合いで販売価格の引き上げを決めていた疑いがあるという。事実関係について日本トレクスは「確認中」(広報)とする。架装メーカーでは、原材料となる鉄鋼などの部材価格上昇している。架装物の値上げにより利益を安定的に得ようとしたことが今回の販売価格引き上げの背景にあるとみられる。

 架装メーカーなど約300社が加盟する日本自動車車体工業会は、会員企業への公取委の立ち入り検査を受けて「現時点でコメントは差し控える」とした。