マレリHD本社 (埼玉県さいたま市)

 経営破綻したマレリホールディングス(HD)及びグループ会社を取引先とするサプライヤーが、国内に1731社あることが帝国データバンクの調査で分かった。取引額は推計で2600億4千万円、関係する従業員は約28万7千人に上る。マレリの再建が長引けば、こうした取引先各社への影響も懸念される。

 帝国データバンクがまとめた「マレリグループサプライチェーン調査」によると、マレリグループ8社と取引のある企業は1731社。このうちマレリグループと直接取引する「ティア1」は480社で、関連する推計取引額は2297億4300万円、従業員は25万3989人に達する。ティア2は1101社、ティア3も150社あり、全体の取引額推計は2600億4千万円に上る。

 取引先の業種別では製造業が全体の約6割を占めた。金型製造(102社)や自動車部品製造(101社)、工業用プラスチック製造(87社)など、熱交換器をはじめとするマレリグループ製品に用いられる金属や樹脂の素材・加工メーカーが多いことが分かる。商社などの卸売業、労働者派遣などを含むサービス業、運輸・通信業も100社超に上った。

 都道府県別では東京都が262社で最多だ。マレリの主取引先である日産自動車の生産拠点がある神奈川県(212社)、自動車サプライヤーが多い静岡県(162社)、マレリ本社のある埼玉県(152社)、群馬県(127社)と続く。上位5都県だけで取引額は推計1916億7300万円、関連する従業員数は19万5803人に上る。

 今後、懸念されるのがサプライヤー各社の収益悪化だ。5月時点では、全体の13.5%が「収益性が悪化している」状態となっている。2年前と比較すると3.2ポイント改善しているものの、1割超のサプライヤーが経営に課題を抱えていることが読み取れる。「業況(売り上げ)が減少している」割合も全体の6.3%、ティア1では7.6%に上っており、帝国データバンクは「マレリグループを含めた日産向けの生産減少が、直接取引するティア1サプライヤーに影響を与えた可能性がある」と分析する。

 マレリHDは11日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条(チャプター11)を申請し、2022年に続く2度目の法的整理を余儀なくされた。従業員や取引先への支払いは履行される見通しで、日産も「安定した事業運営を維持できるよう支援する」とする。ただ、その日産やマレリグループの主要取引先でもあるステランティスは苦境に直面しており、サプライヤーがさらなる受注減を迫られる可能性は拭えない。

 帝国データバンクは「サプライヤーや工場などがある地域への短期的な影響は限定的だ」とみつつ「将来的な中小サプライヤーへの影響拡大が懸念される」としている。