中日本高速道路(ネクスコ中日本、縄田正社長)は5月2日、名古屋市の本社で会見を開き、4月に発生した広域的なETCシステム障害について、利用料金を実質的に無償にすると発表した。当初は高速道路の利用状況に応じて申し出を募り、料金を請求する予定だったが、社会的な混乱を招いた責任から方針を転換した。ETCクレジットカードなどはカード会社を通じて支払い手続きが進んでいるため、ポイントの付与で料金を還元する。現金を支払ったユーザーには、料金相当分のクオカードを送付する。
一連の問題は4月6、7日にかけてネクスコ中日本が管轄する東名、新東名、名神などを含む主要高速道路で、8都県17路線106カ所の料金所で発生した。同社によると、1週間前とほぼ同じ台数が走行したと仮定すると、約96万台に影響を及ぼした。この結果、約38時間にわたり対象道路でETCを利用できない状態だった。
方針転換の理由について「迷惑と混乱を招いたおわびが必要だ。今回はあくまでも料金を頂いたうえで同額を還元するという判断を下した」(縄田社長)と説明。これによる同社の減収額は約12億円を見込む。
還元については、マイレージサービスのポイント付与や今後の請求額減額などで対応する。現金利用者については専用の窓口を設置し、申請書類などを確認した後、3カ月以内を目途にクオカードを送付する。