VICSセンターの監視ルーム

 道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター、山本圭司理事長)は27日、カーナビゲーションに情報提供する「VICSプローブ活用サービス」の本格運用を4月1日から開始すると発表した。走行車両の情報から生成したVICSプローブと道路に設置された感知器などの情報を組み合わせることで、全国ほぼ全ての高速道路や一般道路に関する交通情報の提供を実現する。VICS対応カーナビがあれば利用可能で、渋滞解消をはじめ二酸化炭素(CO2)排出削減、災害対応などにつなげていきたい考えだ。一方で収集対象車種の拡大も課題となっている。

 約5年間の実証実験で、運用体制の構築や情報品質の確保、システムの安定性などを確認。要件を満たしたことから本格運用を決めた。

 VICSプローブは、自動車メーカーが走行車両から収集する位置、速度、通過時刻などの車両プローブデータを基に生成したもの。これに都道府県警察や道路管理者が道路に設置した感知器などから収集した道路交通情報を組み合わせて、FM多重放送でVICS対応カーナビに無料で提供する。

 これまでは感知器の設置率が低い郊外や設置が難しい橋梁やトンネルなどの交通情報を提供できないことが課題だった。VICSプローブの活用により、全国ほぼ全ての高速道路、国道、都道府県道の混雑状況などについて高い精度の交通情報を提供することが可能となった。

 自然災害や停電などで感知器が停止した場合でも、プローブ情報からリアルタイムの交通情報を提供できる。道路交通の安全確保や被災地の復旧・復興活動など災害対応への貢献も期待できる。実証実験では、昨年1月の能登半島地震で道路交通情報の提供に役立った。今後は、VICSプローブサービスの普及を進めるとともに、車両プローブ情報を活用したさらなる情報提供も検討していく。

 ただ、車両プローブ情報の収集対象車種は登録乗用車のみで、軽自動車と商用車は収集対象外となっている。地方は軽ユーザーが多いほか、物流効率化などの観点からも、収集対象車種の拡大が求められている。