損害保険会社の情報漏えい問題に関し、政府の個人情報保護委員会は30日、損保大手4社に対して、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)に基づく行政指導を行った。

 5月30日までに再発防止策の実施状況などについて報告も求める。保険代理店に対しては対象となる個人情報取り扱い事業者が多岐にわたることから、同委員会のホームページにおいて留意事項を記載して注意喚起を行う。

 同委員会から指導を受けたのは、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社。各社は3月24日に、金融庁から同事案で保険業法に基づく業務改善命令を受けている。

 金融庁の資料や各社の報告によると、保険契約者の個人データなどの情報漏えい問題は「代理店事案」と「出向者事案」に大別される。情報漏えいは両事案ともに遅くとも2014年度から始まっており、確認ができた件数は4社合計で約267万件にのぼる。

 各社報告によれば、代理店事案に関与した保険代理店は、自動車販売事業者が大部分を占める。一方、出向者事案については損保会社によって異なるが、自動車販売事業者、金融機関などさまざまな種類の保険代理店で確認された。

 同委員会は、損保大手4社を含む複数の損保会社で「長期間にわたり、個人情報保護法の規定に違反する行為が反復継続して行われてきた」と指摘し、「影響を受ける本人数も多数であることから、法令違反の重大性が大きい」ため、行政指導を課すことを決めた。

 また、日本損害保険協会(損保協、城田宏明会長=東京海上日動社長)も同日、損保大手4社に対し、損害保険会社にかかる個人情報保護指針(損保指針)に基づき、指導を行った。各社には個人情報保護法と損保指針などの順守を改めて要請するともに、再発防止策の改善状況の報告も求めた。