トヨタ自動車は、商用車向けプラットフォームを刷新する。主力の商用バン「ハイエース」級に用いる。「クラウン」や「カローラ」「ヤリス」のように複数の車型を展開する「群戦略」により、開発・生産コストと多様化する市場ニーズやパワートレインへの対応を両立させる。新プラットフォーム採用車は2027年ごろの発売を目指す。
トヨタグループでバン事業を担う子会社のトヨタ車体が中心となり、次世代商用プラットフォームと新車の企画・開発を進めている。トヨタは、18年にバン事業をトヨタ車体に移管した。現行の乗用ミニバン「ノア/ヴォクシー」「アルファード/ヴェルファイア」はトヨタ車体が企画・開発を主導した。次世代商用プラットフォームは、これら新型車の開発で得た技術やノウハウを生かすとみられる。
トヨタは15年の4代目「プリウス」から、低コストで多彩な車種展開を可能とする設計思想「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」を全面導入した。TNGA設計が軌道に乗った後、同一車種名の下で複数の車型をそろえる群戦略を展開し始めた。
次世代商用プラットフォームでも、定員や最大積載量、駆動方式などによって異なる車型や構造を群戦略として効率的に展開する。車載電池やモーターなどの基幹部品と使い勝手、最大積載量などを両立させるパッケージングを追求し、ハイブリッド車(HV)から電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)など多様なパワートレインもそろえて商用車の脱炭素化ニーズに応える。
ただ、この次世代商用プラットフォームを採用した新型車を発売した後も、現行ハイエースの生産を当面、続けていく。現行車は発売から20年以上が経つロングセラーモデルだが、いまだ人気は衰えず、足元では需要に供給が追い付かない状況が続く。このため、当面は安全機能を追加するなど規制に適合させつつ、生産を継続する。