タフモス(右)と一般のポリカーボネートシート
住友ベークライトは、バイオミメティクス(生物模倣)を活用し、車載ガラスの代替になる樹脂材料を開発した。ガラスより軽く、夜間の映り込み防止や長期にわたる撥水(はっすい)性などの特徴を持つ。機能性フィルムや表面コーティング技術なども組み合わせ、自動車のほか鉄道用などとして提案していく。
開発した「タフモス」は、蛾(ガ)の眼を模す形で、ナノ(10億分の1)メートルレベルの微細な突起をもつポリカーボネートシート。表面反射率0.5%以下で、波長にかかわらず夜間の映り込みなどを防ぐ。撥水性や耐候性、耐摺(しゅう)動性(1千回のふきとり試験後も高撥水保持)といった特徴がある。
微細な突起は耐久性に課題があり、これまでは屋外使用に向いていなかった。同社のタフモスは、独自の材料や配合技術により屋外での耐久性を大きく高めた。自動車のサンルーフに用いた場合、車内側は低反射のため、まるでルーフがないような開放感を実現できるという。鉄道車両の窓などに使うと、夜間にスマートフォン画面が映り込むことがなくなり、プライバシー保護にもなる。